一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンでインターンとして活動している竹中弥来です。
私は2025年9月から11月までの約3か月間、「隠岐サーキュラーデザインラボ」の一員として海士町に滞在し、循環型社会の実現をテーマに活動してきました。
本記事では、滞在期間中に取り組んだ内容や、海士町での活動を通して感じたことについてご紹介します。
海士町について

海士町は、島根県の隠岐諸島・中ノ島に位置する、人口約2,300人の離島です。本土からはフェリーで約4時間半、高速船で約2時間の距離にあり、豊かな自然環境と、挑戦を歓迎する独自の文化を有しています。漁業・農業・観光を主要産業とし、島外からの移住者や関係人口も多く、多様な人々が行き交う地域です。
海士町のスローガンは「ないものはない」です。この言葉には、都会のような利便性や娯楽が「ない」という事実を受け入れる姿勢と同時に、幸せに必要なものはすでに「すべてある」と捉え、足りないものは自らつくり出していくという前向きな意味が込められています。私は、この言葉を体現するような環境の中で、3か月間活動しました。
海士町のごみの現状について

(写真)海士町の海辺で回収した漂着ごみたち
私が海士町を活動拠点として選んだ理由の一つに、「離島であること」ゆえの資源循環やごみ処理の課題があります。
島内で発生したごみは分別・中間処理された後、多くが島外へ運搬されますが、そのための輸送コストは大きな負担となっています。また、島内には十分なリサイクル基盤が整っておらず、島外ではリサイクルされる資源であっても焼却処理されている現状があります。加えて、焼却施設の老朽化や切迫する最終処分場の残余年数といった課題も顕在化しています。
さらに、海士町は日本海側の離島であるため、季節風や海流の影響を受け、年間を通じて多くの漂着ごみが発生します。プラスチック類や漁具、ペットボトルなどが中心で、中には海外由来のごみも含まれています。こうした状況から、住民やボランティアによる継続的な清掃活動が不可欠となっています。
隠岐サーキュラーデザインラボについて
このような背景のもと、海士町では「島内で資源を循環させる工夫」が重視されてきました。私が滞在中にお世話になった「隠岐サーキュラーデザインラボ」も、地域に眠る資源を活かし、新たな循環の形を生み出すことを目的とした取り組みを進めています。
海士町のスローガン「ないものはない」を、「ないものはない。価値のないものはない。」という理念として捉え、役目を終えたものや使われなくなった資源に新たな価値を見出し、再び地域で活かす循環型のデザインに取り組んでいます。離島ならではの制約は大きい一方で、資源の価値を見直し、未来の地域づくりを考える重要な契機にもなっています。
3ヶ月での私の取り組みについて

(写真)ワークショップでごみの現状をお話ししている時の様子
隠岐サーキュラーデザインラボで過ごした3か月間、私は「清掃センターの業務負担やごみ処理コストの軽減」と「ごみや循環に関心を持つ人を増やすこと」を軸に、イベントの企画・運営、調査、広報、記録など幅広い業務に携わりました。フィールド調査やSNSでの情報発信、廃材の収集、成形ワークショップの企画・運営、島外からのゲスト受け入れ対応なども日常的な業務の一部でした。
活動を通して特に強く感じたのは、「島という制約の中にこそ循環の可能性がある」ということです。物資の調達や移動にコストがかかる環境だからこそ、「今ここにあるものをどう活かすか」という視点が、地域に自然と根付いているように感じました。イベント準備の場面でも、新しいものを島外から調達するのではなく、島内にある資材を再利用する選択が重ねられており、そのプロセス自体が循環を実践する行為になっていました。
(写真)ワークショップでコンポスト製作している様子
たとえば、コンポスト製作イベントでは、島で役目を終えた廃材に焦点を当てました。廃材収集を通じて、解体された建物の木材や不要になった家具、漁業関連の資材など、地域に多くの未活用資源が眠っていることが明らかになりました。工具の扱いに慣れていない私にとっては難しい場面もありましたが、地域の方々が自然と声をかけ、共に手を動かしてくださる中で、単なる作業を超えた協働の関係が生まれていきました。
また、ワークショップやイベントを通じて、技術を共有し、資源への理解を深め、不要とされていたものが新たな価値を持つ瞬間を参加者と共に体験できたことは、大きな成果であったと感じています。

(写真)「しゃばりば町民大学」でファシリテーターをしている時の様子
活動を振り返って
滞在期間後半は、「なぜ循環をつくるのか」「なぜ海士町で取り組むのか」という問いに向き合うようになりました。単に資源を循環させるだけでなく、その土地の文化や暮らし、価値観を理解し、言葉として整理することの重要性を強く感じたためです。循環の意義や背景を言語化できてこそ、取り組みは一過性の活動ではなく、地域に根づく仕組みとして継続していくのだと思います。

(写真)出船おくりの紙テープをアップサイクルしてポストカードを作っている様子
最終月は、これまでの活動を整理し、次につなげることを重視しました。業務の棚卸しや引き継ぎ資料の作成、イベントの改善点の整理、小さな循環を可視化するための記録フォーマットの作成など、継続的に循環が回り続けるための基盤づくりに注力しました。
3か月間の海士町での生活と活動を通して、地域に眠る小さな資源を見つけ、それを必要なものへと変えていく循環は、確実に未来をつくる力になるという確信を得ました。そして、その循環を支えるのは仕組みだけでなく、人と人との関係性や地域に根ざした価値観、協働しようとする意志であると感じています。この経験で得た学びは、今後の活動においても活かしていきたいと考えています。
