
2024年11月2日・3日京都にて、世界的にゼロ・ウェイスト運動に尽力されてきたポール・コネット博士の来日シンポジウム『ゼロ・ウェイストを考える〜サーキュラーエコノミーの実現に向けて〜』を開催
【シンポジウム内容】
◎基調講演 ポール・コネット氏「Why Japan should reject incineration of municipal waste?(なぜ、日本はごみの焼却処分を止めなければならないのか?)」(日英同時通訳あり)
◎ゼロ・ウェイストに関する国内外の事例発表
◎パネルディスカッション
◎Q&Aセッション(プレゼンターと参加者の交流)
登壇者の詳細とプレゼンテーションの一部を紹介します。
基調講演
<Why Japan should reject incineration of municipal waste? なぜ、日本はごみの焼却処分を止めなければならないのか?>
◾️ポール・コネット博士(元米セントローレンス大学教授)
廃棄物の焼却処分は、 環境だけでなく人間の健康にも深刻な影響を与えることが、これまでの調査研究からわかっており、再利用やリサイクルを 中心とした持続可能な循環型経済への移行が必須である。 ゼロ・ウェイストを達成するためには、 地域社会が『ごみを減らす』『再利用する』責任を、 産業が『再デザインする』責任を負うことが 求められる。私たちがごみを焼却処分しているのは、 社会のデザインの欠落によるものであり、日本人はもっと日本社会の既存の仕組みに対して怒っていい。

事例紹介
<韓国の廃棄物管理の成功事例と課題>
◾️ムン・ドウン氏(Global Alliance for Incinerator Alternative政策・調査研究員)
1995年に韓国で導入された「排出量に基づく廃棄物料金制度 (Pay as you throw)」は、廃棄物削減と埋立地の削減、リサイクル率の向上に大きく寄与した。2005年からは「食品廃棄物の埋め立て禁止」の法律により、さらに食品廃棄物のリサイクルが進んだ。しかし、韓国は依然として焼却処分に依存しており、リサイクル可能なプラスチックの多くが焼却されている。現在、韓国政府は使い捨てプラスチックの規制を行い、並行して民間ではパッケージフリーで購入できる店舗も広まっている。また、ごみ削減に取り組む団体とフードデリバリー企業が協力し、ゼロ・ウェイストの取り組みを推進している。
事例紹介
<山形県上山市におけるエネルギー回収施設と微量元素汚染の関係の検討>
◾️渡邉泉氏(東京農工大学大学院農学研究院教授)
上山市のエネルギー回収施設(流動床式ガス化溶融炉)は高温処理のため排ガスが少なく、資源回収効率が良いことなどが利点だが、実際の稼働の不安定さや周辺環境への 影響が指摘されている。土壌や河川、 魚類などを調査した結果、施設から排出されたと考えられる 微量元素の汚染を確認し、これは大気中から降下した汚染物質が蓄積している可能性があることを示している。現在も施設周辺の環境および住民の健康への影響が懸念され、日本でもこうした事例があることを改めて認識したい。
パネルディスカッション
<ゼロ・ウェイストを考える〜サーキュラーエコノミーの実現に向けて〜>
◾️坂野 晶氏(一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン 代表理事)
自治体の規模に関わらず、日本でも未だに廃棄物処理に関する課題は多く、サーキュラーエコノミーの実現には、堆肥化施設の老朽化や広域連携不足など政策的に取り組むべきことは多い。一方、リユースやリペアなど「長く使う」ことへの意識が広まり、ごみ削減活動は少しずつ習慣化している。そうした「行動」が根付くことで、意識も変わっていく、そんな動きの加速が今後も期待できる。
◾️佐藤友啓氏(ゼロ・ウェイスト・イタリア)
イタリアではゼロ・ウェイストの取り組みとして、焼却炉を廃止し、その代替としてゼロ・ウェイスト政策を導入した。最初は混乱もあったが、説明会を実施することで市民にとって分別が当たり前のこととなった。 また、市民活動としてアップサイクルを活用したアート作品作りなどの取り組みがとても盛り上がっている。
◾️藤原寿和氏(元東京都環境局)
以前は、東京で生ごみの分別を試み堆肥として農家に引き渡していたものの、再び生ごみを燃やす仕組みに戻ってしまった。また、1983年に行われた調査によって焼却炉から有害物質が発生していることが明らかになり、一般廃棄物の問題が産業廃棄物よりも深刻であることが分かった。市民運動が盛り上がる中、行政は事実関係をしっかりと伝え、適切な対応を行う必要がある。
◾️山内剛氏(亀岡市環境先進都市推進部長)
亀岡市は全国で唯一、プラスチック製レジ袋の提供を禁止している自治体だ。単なる環境問題への取り組みではなく、おしゃれで芸術的なアプローチとして取り組んでいる。プラスチックの分別を行い、素材の一部にリサイクルしたプラスチックを使用した再生100%の指定ごみ袋を市民に提供することで、循環型社会の仕組みを地域内で構築している。将来に向けて、行政は次世代に良い未来を残すために説明責任を果たすことが重要だと考える。
シンポジウム翌日には、実際に京都周辺の資源循環・廃棄物処理の取り組みを見学するエクスカーションを実施しました。
【プログラム】
◎京都市京北町での生ごみバイオガス化の取組視察
◎亀岡市南丹清掃産業廃棄物中間処理施設でのEFP紙おむつリサイクルの取組視察

当日は、たくさんの方々に参加をいただき、多くのご質問をいただくなど、大変充実した内容となりました。